就活に正解が存在しないもう一つの理由を説明します。私がある企業を取材したときに人事担当者がこう言いました。05就活には正解が存在するか?「ESを書く時に、大学時代の経験だけで書くべきとアドバイスをもらいました。でも別の人は高校時代の経験を自己PRに書いても良いと言いました。どちらが正しいのですか?私は困ってます」。「言われた通りにESを書いたのに書類選考が通りませんよ。どういう事なんですか?」「同じ形の石で城の石垣を作ると弱い石垣になってしまう。様々な形の石で作った方が強くなる。つまり人材も同じで、多様性のある組織の方が時代や社会の変化に強いのです」。正解が存在しないもう一つの理由お勧めの世界観「就活は成長のチャンス」「福島さん、世界観とか、そういうの不要なので、もっと早く内定を取れる方法を教えてくださいよ。タイパよくやりたいんですよ」。 私は以前、次のような質問を学生から受けたことがあります。彼女はどのような世界観を持っているのでしょうか?考えてみてください。 この質問の背後にある世界観は「就活には正解があるはずだ」というものでしょう。ところで正解とは何でしょうか?例えば8を2で割れば4になります。誰がやっても同じ答になるもの。これが正解です。つまり彼女は、誰がやっても内定がもらえる方法があるはず、と考えているようです。 残念ながら就活には正解がありません。人によって解決策が違うからです。 例えば、大学時代に頑張った経験がある人なら大学時代の経験をESに書けば良いでしょう。しかし、そうでないなら高校の経験を書いた方がいいでしょう。残念ながら、これがわかっていない学生は、次のような疑問を抱きます。 学生時代に頑張った経験がなければ、いくら書き方を工夫しても、人気企業では書類選考を通る可能性は低いままです。それが理解できない、世界観がずれた学生はクレームをつけることがよくあります。このような他責性の強い考え方ではなかなか内定が出ません。人として魅力が少ないからです。必然的に就活は難航します。 実は多くの企業が多様な個性を求めています。100人の内定者がいるなら、100通りの個性、100通りの入り方があったと考えた方が合理的です。ここからも「就活には正解がない」ということがわかります。 私は稀に、学生さんからお叱りを受けることがあります。 この学生さんの発言の背後にある世界観はどんなものでしょうか。「就活自体に価値はなく、エネルギー投入量は必要最小限にした方がいい」というものでしょう。ところが、一見合理的に見えるこの考え方は、人事担当者から見て魅力的ではありません。 就活とは、ほとんどの学生にとって困難や苦痛を感じるものです。そういう意味では、将来の仕事と共通するところがあります。仕事では、困難を乗り越えることで社会人として成長していきます。 「面倒くさいから、タイパ良くやりたい」という学生より、「どうせやるなら、これを機に自分を成長させよう」そんな学生の方が魅力的です。なぜなら後者は、会社に貢献してくれる可能性を
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